「個人向け国債」について聞いたことがある方、既に運用している方、いろいろといらっしゃると思います。
国が元本を保証してくれて、定期預金よりも金利が良いなら、良いことだけですよね。
でも、本当に注意すべきデメリットはないのでしょうか。
この記事では、
・個人向け国債ってデメリットはないの?
という疑問にお答えしていきます。
Contents
個人向け国債のデメリットとは?
個人向け国債の主なデメリットは、以下のようなものが挙げられると思います。
順番に説明していきますね。
・信用リスク
・金利変動リスク
・1年以内の途中換金不可
・中途換金時にペナルティがある
・いつでも購入できるわけではない
・他の運用商品と比べると利回りが低い
信用リスク
信用リスクとは、お金の借り手が破綻し、貸したお金が返ってこないリスクです。
国債の場合は、日本国の信用リスクということです。
国にお金を貸しているので大丈夫だろう思われる方もいると思いますが、過去デフォルト(債務不履行)となった国債はいつくもあります。(日本国債ではありません)
最近で言えば、アルゼンチンやギリシャなどです。
国債の安全度は、格付け機関と呼ばれる会社がその安全度の応じて格付けを行っています。主な格付け機関はMoody’s(ムーディーズ)、S&P(スタンダードプアーズ)といったところです。聞いたことがある方も多いでしょう。
G7各国の国債の格付けは以下のとおりとなっています。
Moody’s | S&P | |
フランス | Aa2 | AA |
アメリカ | Aaa | AA+ |
イギリス | Aa1 | AA |
ドイツ | Aaa | AAA |
イタリア | Baa2 | BBB- |
カナダ | Aaa | AAA |
日本 | A1 | A+ |
以下の参考をみていただくと分かると思いますが、日本国債はG7の中で下から2番目の格付けになっています。
とはいえ、投資適格(投機的ではない)と認められていますので、すぐにダメになるというものではないと思いますが、国にお金を貸して返ってこないリスクはゼロではないということは認識しておきましょう。(日本国債がデフォルトするような時は国内のどの資産に投資してもダメな気がしますが。)
(参考①)Moody’s(ムーディーズ)の格付け(詳しくはMoody’s HPへ)
Aaa | 信用力が最も高いと判断され、信用リスクが最低水準にある債務に対する格付 |
Aa | 信用力が高いと判断され、信用リスクが極めて低い債務に対する格付 |
A | 中級の上位と判断され、信用リスクが低い債務に対する格付。 |
Baa | 中級と判断され、信用リスクが中程度であるがゆえ、一定の投機的な要素を含みうる債務に対する格付 |
(*)Aa から Caa までの格付に、1、2、3 という数字付加記号があり、1 は、債務が文字格付のカテゴリーで上位に位置することを示し、2は中位、3 は下位にあることを示す。
(参考②)S&P(スタンダードプアーズ)の格付け(詳しくはS&P HPへ)
AAA | 当該金融債務を履行する債務者の能力は極めて高い。S&P の最上位の個別債務格付け。 |
AA | 当該金融債務を履行する債務者の能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい。 |
A | 当該金融債務を履行する債務者の能力は高いが、上位 2 つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい。 |
BBB | 当該金融債務履行のための財務内容は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって当該債務を履行する能力が低下する可能性がより高い。 |
(*)「AA」から「CCC」までの格付けには、プラス記号またはマイナス記号が付されることがあり、それぞれ、各格付けカテゴリーの中での相対的な強さを表す。
金利変動リスク
債券には金利変動リスクがあります。
例えば、固定金利を選択した場合、その後金利が上昇しても、金利上昇のメリットを受けることができません。
逆に変動金利を選択した場合は、半年ごとの金利見直しのタイミングで金利が低下していると、受け取る金利が減ってしまうリスクがあります。
基本的には、個人の判断になりますが、金利がこれから上昇すると考える場合は、変動金利、低下すると考える場合は、固定金利を選択すると良いでしょう。
1年以内の途中換金不可
個人向け国債の商品は3年、5年、10年物です。それぞれ最低1年間が経過しないと途中解約して換金することができません。
急にお金が必要になった場合に換金できないので、余裕資金で運用するようにしましょう。
中途換金時にペナルティがある
上記でお伝えしたとおり、購入後1年が経過すれば中途換金することができます。
中途換金の際には、直近2回分の利子が、中途換金調整額という形で差し引かれます。(財務省のHPにイメージ図がありましたので、掲載しておきます。)
いつでも購入できるわけではない
個人向け国債は、通常毎月発行されますが、いつでも購入できるわけではありません。
募集期間は、2020年1月時点では以下のとおりとなっていて、募集期間を見ていただくと分かると思いますが、月初数日は募集をしていない期間があります。
募集月 | 募集期間 |
1月 | 令和2年1月9日~31日 |
2月 | 令和2年2月6日~28日 |
3月 | 令和2年3月5日~31日 |
他の運用商品と比べると利回りが低い
国債の場合、国の信用リスクという低いリスクを取るのでリターンが小さくなるのはある意味当たり前ですが、他の運用商品、例えば外国債券で運用する投資信託など、と比較すると利回りが低くなる傾向にあります。
購入できる期間が決まっている
個人向け国債は、3年、5年、10年物しかありません。従って、1年や2年といった短期間で運用したい人には向かない商品となっています。
個人向け国債を購入したら気を付けたいこと
最後に個人向け国債を購入したら、気を付けたいことをお伝えします。なるほどと思ったら、頭の片隅に置いておいてくださいね。
個人向け国債の販売は、他の運用商品と比べて、金融機関にとってそれほど儲かるものではありません。
そのため、窓口などではあまり積極的にセールスしていないと思います。(マイナス金利で預金を減らしたいという銀行には勧誘するインセンティブがあるかもしれませんが)
それでも個人向け国債をキャンペーンなどで販売しているのはなぜか?それは、「将来、他の運用商品を販売するお客様になり得るから」です(それだけではありませんが)。
こんな話を聞いたことがあります。
・個人向け国債を購入したお客様に対し、1年経過したところで中途解約&他の商品のセールスをする。
・中途解約の際、直近2回分の利子が受け取れなくなることにためらうお客様には、「キャンペーン」でその分の利息相当は受け取っていると説得する
証券会社や銀行にとっては、他の運用商品に乗り換えてくれた方が儲かりますからね。
各金融機関は行政の指導に基づき、「お客様本位」の営業をしているはずですので、無理な営業はないと思います。とはいえ営利企業でもありますから、担当者によっては、上記のようなことがないとは言えません。
頭の片隅に置いておくと、いざセールスされたときに冷静に対処できると思います。
まとめ
いかがでしょうか。
この記事では、
・個人向け国債ってデメリットはないの?
という疑問にお答えしてきました。様々なデメリットを挙げましたが、個人的には、デメリットを上回るメリットがあるのが、「個人向け国債」だと思っています。
日本円で元本保証がされる運用商品としては、これが一番だと考えていますので、元本はどうしても守りたいという方には、自信を持ってお勧めしています。
この記事が何かの役に立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。