皆さんは『タンス預金』という言葉を聞いたことがありますか。新聞記事などでもたまに話題になりますので聞いたことがある方も多いと思います。
この記事では、タンス預金について
・タンス預金とは何か?
・タンス預金はいくらぐらいあるの?
・タンス預金をすると損するの?
といった疑問にお答えしていきたいと思います。
Contents
タンス預金とは
「タンス預金」とは何でしょうか。
一般的には、
金融機関に預けられず、自宅で保管されている現金のこと
を指します。
自宅にタンスがなくても、タンスに入れていなくても、自宅で保管していれば「タンス預金」ですよ。
預金口座に預けていない「へそくり」なんかもタンス預金に入りますよね。
タンス預金はいくらくらいあるの?
それでは、タンス預金はいくらぐらいあるのでしょうか。
タンス預金はいくらあるの?
第一生命経済研究所によれば、
紙幣の流通高は、2018 年末に 100 兆円を超えた。その中でタンス預金として保蔵されている金額も、2019 年 1 月末に 50 兆円という大台に乗った。
紙幣の流通額が100兆円ですから、現金のうち約半分の50兆円が「タンス預金」ということです。(30兆円~80兆円という報道もあります)
下のグラフを見ると、2010年には28兆円ぐらいですから、9年で約1.8倍に急増しています。
個人金融資産に占めるタンス預金の割合
では、預金なども含めた個人金融資産に占める割合はどれぐらいでしょうか。
個人金融資産の金額は日銀の資金循環統計を見ればわかります。
2018年12月末では1,830兆円となっていますので、
50兆円÷1,830兆円=0.027 ≒ 3%
となります。この3%という数字が大きいのか小さいのかは、私はわかりません。
タンス預金について、もう少し考えてみたいと思います。
なぜタンス預金をするのか
それでは、皆さんなぜ、タンス預金をするのでしょうか。
・銀行に預けても金利がつかない
・逆に引き出しのときに手数料がかかってしまうことがある
・銀行がつぶれない時代ではなくなったため、銀行に預けておくのが不安
・税務署などに資産を把握されたくない
といった理由があるのではないでしょうか。
タンス預金のメリット、デメリット
タンス預金のメリット、デメリットはどんなことがあるのでしょうか。
タンス預金のメリット
タンス預金の主なメリットは以下の2つです。
・流動性が高い
・減らない
タンス預金の最大のメリットは、いつでも使えること。つまり流動性が高いということです。
銀行の普通預金も同じように流動性は高いですが、銀行に行って、お金をおろすというひと手間が必要になります。
急に現金が必要になったとき、最悪の場合、銀行ATMが使えないこともあります。ある程度のタンス預金があれば緊急時にも安心ですよね。
もう一つのメリットは、「減らない」ということ。
今は預金にマイナス金利は適用されていませんが、預金にも適用された場合、金融機関に預けておくだけで目減りしていきます。
また、金融機関が破綻した場合、なんらかの影響を受ける場合があります。そういったリスクが無いのがタンス預金です。
タンス預金のデメリット
では、タンス預金のデメリットは何でしょうか。主に以下の2つだと思います。
・喪失リスク
・インフレリスク
1つ目は、喪失リスクです。
空き巣などによる盗難、地震、火災等の災害による喪失などが考えられます。
一般的に、これらのリスクは金融機関の破綻リスクより高いと言われています。
2つ目は、インフレリスクです。タンス預金は、金融機関に預けているわけではないので、利子も付きません。
その間、世の中がインフレーションで物価が上昇した場合、実質的な価値は目減りしてしまうということです。
例を使って少しわかりやすく説明します。
<×1年>
タンス預金:100万円
自動車価格:100万円
<×2年>
×2年に物価が3%上昇したとすると、
タンス預金:100万円(変わらず)
自動車価格:103万円(100万円×1.03=103万円)
となります。
ポイントは、タンス預金のままで持っている間に物価が上昇して1年前に買えたものが買えなくなってしまったということです。
要するにタンス預金は、
物価上昇(インフレ)時に価値が目減りする
ということです。
もし、金融機関に預けていたら、何等かの金利が付いたはずです。
3%の金利はつかなくても、1%の金利がついていれば、預金は101万円(100万円×1.01=101万円)になっていました。これにより物価上昇の影響を抑えることができます。
まとめ
さて皆様どうお感じになりましたでしょうか。
私は、資産運用の観点で考えた場合、メリットよりデメリットの方が大きいと思います。
とはいえ、一定のタンス預金(現金)は手元に必要でしょうから、必要最小限を現金化し、それ以外は金融機関に預け、預金その他の金融商品で運用することをお勧めします。