9月相場に入り米国株式市場の状況が調整色を強めていますが、今後の展開を少し考えてみたいと思います。
今日のテーマは、「内部者取引の増加」と株価です。
【米国株式市場】内部者の売買の増加は下落の兆候?
よく見ている「isabelnet」のブログ記事に以下のようなものがありました。
Insiders Sales in U.S. Listed Companies
Last month, U.S. executives sold stocks in their own companies as the S&P 500 rallies on. This is the biggest burst of selling since 2015.
直訳すると、こんな感じです。
米上場企業のインサイダー売り
先月、S&P500の上昇を受けて米幹部が自社株を売却しました。これは2015年以降で最大の売り越しとなった。
以下画像は同様に「isabelnet」のものですが、この8月が2015年11月以来の売りとなったということです。
なぜこの指標が大事かといえば、企業の経営者が先行きを見通して売っているのではないかということが考えられるためです。
例えば、経営者がこれから企業業績が悪化することが見通せるのであれば、高値で保有株を売っておこうとするのではないか、と考えられるからだと思います。
前回2015年11月はどうだったのか
では、この指標と株価の動きにどのような相関があるのか前回の2015年11月を振り返ります。
前回のNYダウの株価の動きはこうなっています。2015年8月にチャイナショックがあり、その後の株価のリバウンド局面が、2015年11月ごろになります。
その後12月に株価はピークを迎え、翌年1月からの急落となっていきます。
つまり、内部者の売りのピークと株価のピークがこの時は一致していて、その後、株価が下落したということになります。
ただ、その後2016年3月にも大きめの売りが出ていますが、その後の株価は大きく下げることなく戻していますので、単純に「売り増加=株価下落」とはならないようです。
今回2020年8月のピークはどうなるのか?
今回は2015年11月以来の内部者の売りということですが、今後の株価はどのようになるのでしょうか。
前回との類似点を挙げるなら
・ピーク時の水準がほぼ同水準
・大きな下落からのリバウンドのピークに一致
といったところでしょうか。
2015年はNYダウが高値約18,000から安値約16,000まで下落し、10%超の急落となりました。
今朝までのNYダウのチャートはこんな感じになっています。
ここからリバウンドしていくのか、さらに急落していくのかはわかりませんが、前回並みの下落を想定するなら、高値約29,000から安値約26,000の▼3,000程度の調整は見込まれるのかもしれません。
この下値めどは、「米国株式市場のオプション取引は過去10年で最大のブルポジション」でも考察した下値めどとも一致しています。
さて、どうなるか。